外科


(1)概要

当科では、主に手術を必要とする消化器疾患を扱い、年間1000件を超える手術を行っています*1。具体的な対象疾患は、胃がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、肝がん、膵がん、胆道がん、胆石、腸閉塞、ヘルニア、肛門疾患などです。
また、緊急手術を必要とする急性腹症(虫垂炎、上部消化管穿孔、下部消化管穿孔、絞扼性腸閉塞、胆嚢炎など)も扱っています。当科における緊急手術件数は、年間約130件です*2

  • *1 2023年1月~2023年12月の外科手術件数は 1,222件
  • *2 2023年1月~2023年12月の緊急手術件数は 135件

なお、2018年から直腸がん、2022年から胃がん・食道がん、2023年から膵体尾部切除・結腸がんの手術にロボット支援下手術(ダヴィンチ手術)を導入しています。

診断が未確定で外科を受診された場合でも、患者さんの病態に応じて、適宜、他診療科への紹介も行います。
また、がんの病態に応じて、抗がん剤治療や放射線治療が必要な場合には、腫瘍内科や放射線科と連携をとり、治療を実施します。再発の場合には、病状に応じて、抗がん剤治療から緩和治療まで幅広く対応します。

(2)ポリシー

「専門性の追及と24時間の救急対応」
最新かつ高度な外科診療を目指して

医療技術は、日進月歩で発展していきます。そのような中で当科は、現状に満足せず、常に新しい技術、機械、手術を積極的に取り入れ、最新かつ高度な外科診療の提供を目指しています。さらに、多数の認定医・専門医が所属し、外科領域における専門性を追及し続けています。

専門的な外科診療体制の構築に向けての取り組み

消化器の外科は従来の開腹手術中心から腹腔鏡手術の時代へと大きな転換点を迎えています。このような流れの中で外科としては、日本外科学会認定 外科専門医、日本消化器外科学会認定 消化器外科専門医、日本食道学会認定 食道外科専門医、日本大腸肛門病学会認定 大腸肛門病専門医*3などを多数擁して、最新の高度な外科診療の提供のために専門性を高めていく努力を続けています。

  • *3 2024年2月時点

24時間の救急診療体制での患者さんへの対応

夜間や休日でも、治療を必要とする患者さんを積極的に受け入れ、必要に応じて24時間緊急手術を実施できる体制を整えています。緊急入院の患者さんは、その病態に応じて、ICU(集中治療室)、HCU(ハイケアユニット)、一般病棟などに入院します。

(3)特徴

手術適応や術式の決定には十分な検討を実施

外科全員が参加する週2回のカンファレンスにおいて、すべての症例における手術適応や術式を検討しています。さらに、内視鏡治療など、内科的な治療法との比較が必要な症例については、週1回行われる消化管内科・肝胆膵内科との合同カンファレンスにて検討の上、決定します。
また、進行がん症例で一度は手術が難しいと判断した症例においても、抗がん剤治療や内科的治療で効果が得られた場合には、再度手術実施の可能性を検討することも行っています。

チーム医療を大切にした診療

当科は、チーム医療を大切にして、日々の診療を行っています。
院内の他診療科との連携はもちろん、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、放射線技士、栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカー、事務スタッフなど、あらゆる職種の協力を得て、専門職種ごとに業務を役割分担する形でのチーム医療を実践しています。

院内のNST(栄養サポートチーム)は、患者さんの栄養状態をスクリーニングし、栄養管理の指導などを実施しています。さらに、緩和ケアチームや感染対策チームによる院内ラウンドなど、専門チームが院内を横断的にチェックして対応する体制も整っています。

チーム医療では情報共有が特に重要です。術前・術後管理などに関して、電子カルテシステムとクリニカルパス(入院診療計画書)を用いて、効率的な情報共有を行えるようになっています。

SSIサーベイランスと周術期感染対策

安全で、質が高く、かつ適正なコストの外科診療を提供するためには、周術期感染対策に関する体制を整えることが必須です。

当科では1998年より、腹部手術を対象にSSIサーベイランス(手術部位感染を継続的にチェックし、その発生率を確認する感染対策活動)を実施し、手術部位感染の減少に努めています。


受診される方へのメッセージ

病気を早期の段階で発見するためには、定期的に検診を受けることが大切です。検診で、なんらかの異常がみつかった場合には、受診後、迅速に精密検査や治療を行います。なお、当院の外来は完全紹介制ですので、紹介状をお持ちの上で、受診してください。

部長 佐藤 彰一

 

低侵襲・機能温存手術ロボット手術センター