手術を要する消化器疾患を主に扱う外科では、年間1200件を超える専門性の高い手術を行っています。2018年からはロボット支援下手術も選択肢に加わり、従来から取り組んできた低侵襲手術もさらに充実しました。
食道がん
喉と胃をつなぐ食道の粘膜に生じるがん。初期は自覚症状が少なく、進行とともに胸の痛みや違和感、飲食物のつかえ、声のかすれなどが起こります。内視鏡検査やCT検査、MRI検査などで確定診断をつけて進行度を判定し、診療方針を決定します。
以前から取り組んできた胸腔鏡による低侵襲手術に加え、2022年からはロボット支援下手術が加わりました。2023年度は、1件の開胸手術を除く全例をロボット支援下で行っています。
胃がん
胃は食道と十二指腸の間にある袋状の臓器で、その内側をおおう粘膜の細胞が徐々に粘膜下層、固有筋層、漿しょう膜まく下層、漿膜へと外側に向かって広がっていくがんです。胃がんは、早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がないこともあり、発見するには健康診断やがん検査の受診が大切です。
胃がんの治療においても、当院は以前から腹腔鏡による低侵襲治療を積極的に実施してきました。2022年からロボット支援下手術がスタートし、2023年には腹腔鏡手術とほぼ同数となっています。
大腸がん
大腸がんは結腸・直腸・肛門に発生するがんの総称です。罹患率の高いがんですが、初期症状と断定できる特徴的な症状はなく、進行して見つかることが少なくありません。よって、死亡率も上位です。定期的な健診を欠かさないようにしましょう。
大腸がんでは2018 年から直腸がんに対するロボット支援下手術を開始し、順調に増加しています。結腸がんは腹腔鏡が中心でしたが、2023 年からロボット支援下手術も選択肢に加わりました。
膵臓がん
膵臓は胃の裏側にある臓器で、膵がんは膵管とよばれる管に発生します。小さいうちから転移しやすいですが、初期は症状が出にくい上、他の臓器に囲まれていて発見が遅れることも。腹痛、食欲不振、体重減少などのサインを見落とさないようにしましょう。
膵臓がんの多くは開腹手術ですが、膵体尾部切除においては腹腔鏡も活用されています。2023 年から、膵体尾部切除に対するロボット支援下手術を開始しました。
鼠径ヘルニア
鼠経ヘルニアは、おなかの中にあるはずの腸などの臓器が、鼠経部の筋膜の隙間から飛び出てしまう疾患です。足の付け根の膨らみ、不快感、痛みを訴えての受診が目立ちます。放っておくと腸閉塞や腹膜炎になる可能性もあり、早期治療が重要です。
虫垂炎
虫垂炎は、虫垂の内部に閉塞が起こり、炎症が生じる良性疾患です。みぞおちのあたりの急な痛みから始まり、腹痛、吐き気、発熱などがよく見られます。一般的な疾患であることから、できるだけ体に負担がかからない方法での手術が望ましいです。
かかりつけ医から当院の医師へ
直通の電話で相談が可能
かかりつけ医をはじめとする近隣の医療機関の先生方との密接な連携と適切な役割分担を目的として、「医療連携協力機関登録制度」を設けています。ご登録いただいた医療機関の先生方には、当院の医師との間で直接やり取りできるホットラインをご案内していますので、ぜひご活用ください。精密検査が必要な場合や、より専門的な治療が必要だと判断された場合、症状の判断に悩む場合にご相談が可能です。
先生にお話を聞きました!
外科 部長 佐藤 彰一
2000年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、藤枝市立総合病院、NTT東日本関東病院、埼玉医科大学総合医療センターに勤務。2016年NTT東日本関東病院に外科医長として着任、2024年より現職。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本肝胆膵外科学会肝胆膵外科高度技能専門医。
外科 医長 樅山 将士
2002年横浜市立大学医学部卒業。横須賀共済病院、藤沢市民病院、横浜市立大学附属市民総合医療センターを経て、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。帰国後、横浜市立大学附属病院を経て、2018年からNTT東日本関東病院勤務。日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)、ロボット支援下手術プロクター(結腸・直腸)、日本消化器外科学会指導医。