肝胆膵内科

肝胆膵内科/胆膵グループとは

(1)概要

胆膵グループでは、すい臓や胆道(胆のうや胆管)の病気に特化した診療を行っています。当グループで扱うすい臓の病気の一例には、すい臓がんや膵神経内分泌腫瘍(P-NET)などの悪性疾患、急性・慢性膵炎などの良性疾患があります。また、胆のうの病気としては、胆管がんや胆のうがん、十二指腸乳頭部がんなどの悪性腫瘍や、胆石症や急性胆のう炎などの良性疾患が挙げられます。

すい臓がんや胆道のがんは診断や治療が難しく、あらゆるがんの中でも治療成績が悪いことが知られています。私たちは、これらのがんを克服するために、検査技術や治療技術の向上を重視し、早期発見と治療成績の向上を目指しています。

(2)ポリシー

当グループの最大の目標は、すい臓がんの早期発見・早期治療です。生存率が悪いことで知られる膵臓がんを克服するために、CTやEUS(超音波内視鏡検査)などを駆使して検査・診断を行い、切除可能な段階での治療介入に努めています。

(3)特徴

すい臓がんを早期発見するための精密な検査

通常のCTだけでは、小さなすい臓がんを指摘できないことがあります。そのため、当グループでは膵ダイナミックCT、MRCP(MRIによる胆管膵管撮影)、EUS(超音波内視鏡検査)などを組み合わせた検査を行っており、手術可能な段階にある小さなすい臓がんの発見を目指しています。

【検査の解説】

  • 膵ダイナミックCT:造影剤を注入し、腹部の断面画像を数回撮影する検査です。一定の時間をおいて同じ部位のCT画像を撮ることで、正常な組織と病気のある組織での造影剤の動きの差異を確認することができます。
  • MRCP:MRI装置を用いて胆管や膵管を調べる検査です。内視鏡や造影剤を使用することなく行えるため、体への負担が少ない検査といえます。
  • EUS:体外から超音波をあてるのではなく、超音波装置のついた内視鏡を体内に挿入し、すい臓などの臓器に至近距離から超音波をあてる検査です。

EUS-FNAを用いた迅速な診断

EUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引法)とは、先端に小さな超音波発生装置取り付けた内視鏡を用い、病変組織を採取する検査方法です。

画像検査などですい臓がんや、消化管粘膜下腫瘍の可能性が疑われた場合、EUS-FNAにより採取した組織を調べる病理診断により、確定診断をつけることができます。EUS-FNAは内視鏡を口から挿入して行うため、かつて行われていた腹部に切開を加える腹腔鏡を用いた診断に比べて、低侵襲で行えるようになりました。入院期間は、最短で2泊3日で、内訳は表の通りです。

※検査入院の一例(最短の場合)

平日1日目 平日2日目 平日3日目
入院 EUS-FNA 朝の採血に問題がなければ昼食から再開、食後に退院
一日絶食

緊急を要する胆のう炎や胆管炎の治療体制

胆のう炎や胆管炎などの胆道感染症は、発症後すぐの受診や処置が重要な、緊急性の高い病気のひとつです。当グループでは、このような緊急を要する病気に対応できるよう、医師や看護師、コメディカルスタッフが一丸となって、診療時間内・時間外を問わずERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という検査を実施できる体制を整えています。これにより、処置が必要な患者さんが来られた場合は、当日に治療などの処置を行うことも可能になっています。

◆主な検査

◆主な疾患

(4)診療実績

●ERCP治療成績

当院では月曜から金曜日まで毎日ERCPを施行することが出来ます。※年間500件に迫る件数のERCPを4人の内視鏡医で行っております。緊急を要する病気に対応するために、当院では緊急ERCPを多く行っており、年間90件以上が緊急ERCPです。
夜間や休日にも必要時には対応が可能で日常的に行っております。

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●EUS成績

当院では毎週金曜日に外来で EUS を行っております。入院の方は月曜~金曜日まで曜日に関係なく行う事が可能です。

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受診される方へのメッセージ

私たち胆膵グループは胆道・膵臓の病気を専門的に治療するチームです。診断や治療が難しい分野です。実際に膵癌・胆道癌は現在生存率ワースト1,2の最も成績の悪い癌です。胆膵領域の診断・治療にはERCP、EUSといった通常の胃カメラとは異なった特殊な内視鏡技術が必要であることからもこの領域を専門にしている医師は非常に少ないのが現状です。

2016年4月にNTT東日本関東病院肝胆膵内科胆膵グループはメンバーを一新し現在4名の胆膵専門スタッフで構成しております(2021年2月現在)。診断、治療、化学療法に至るまで全てを私たちのチームで一貫して行い、レベルの高いチーム医療を実現しております。また積極的に学会活動、臨床研究を展開し、他施設とも交流しながら、診療のレベルアップを図り、当院の胆膵グループでは1人でも多くの方に質の高い治療ができるよう日々診療を行っております。

当グループでは膵癌の早期診断と治療を最大の目標に掲げております。EUSやCTなどを駆使して可能な限り早期の手術可能な段階で膵癌を見つけて診断し外科に手術を依頼しております。

そこには検診としてのEUSが大きな役割を担っています。小さい膵癌はCTでも発見率が80%以下ですがEUSでは90%以上発見可能です。(2cm以下の膵癌の発見率はCTでは50%という論文もあります)実際にCTでははっきりしない膵癌をEUSで発見することが出来、膵癌を早期治療出来た方も多数いらっしゃいます。

腫瘍が見つかった後の膵癌の診断・治療は迅速に低リスクを目指して行っております。膵癌の診断は最短3日と迅速に可能であり、従来ERCPで診断していたものをEUS-FNAで診断可能なため低リスク(少ない合併症)・低侵襲で行うことができます(ERCPは必要な場合にのみ行います)。外科とも密に連携しているため手術待機期間も短くするような体制としており、待機中に癌が進行してしまう危険性も低いです。手術不能の進行膵癌の患者様でももちろん迅速な治療に努めています。初診日にまず外来で血液検査、造影CTを行い、翌日から入院でEUS-FNAを行います。病理結果判明後に抗がん剤の治療ができるため初診から1週間程度で治療開始が可能です。

当グループにおける膵胆道の処置内視鏡件数は件数を重ねており、他院で施行困難なERCPも紹介を受け多数実施しております。また、EUSを用いた胆道ドレナージやのう胞・膿瘍ドレナージなどの治療も日常的に行っております。当院には最新の内視鏡機器を備えており、当グループで治療することでこれまでは治療困難と考えられていた病変も治療可能となる事があります。ホームページ内に各種疾患の簡単な解説や当院での成績などを記載しました。膵癌が心配な方や治療方針に悩んでいる方などいつでもご相談ください。
※2021年2月

医療機関様

患者様の御紹介はいつでも歓迎いたします。ERCPで胆管挿管困難な患者様、FNAやEUSを併用した膵胆道ドレナージ(EUS-BD、EUS-PD)が必要な患者様などの高度な専門医療が必要な患者様がいらっしゃいましたら、毎週火曜日午前中の肝胆膵内科新患外来(藤田宛)へご紹介頂ければ幸いです。よくわからない膵腫瘍や胆のう腫瘍などもEUSで観察することで診断をつけることが出来ることもあります。EUSの依頼もすぐに対応させていただきます。もちろん胆管炎などで緊急の対応が必要な患者様は基本的にいつでも対応可能なので病院にご連絡ください。

2021年2月 藤田 祐司

年間の診療実績(2020年1月~2020年12月)
ERCP (内視鏡的逆行性膵胆管造影) :494件
EUS (超音波内視鏡) :485件
EUS-FNA (超音波内視鏡下生検) :114件
Interventional EUS(超音波内視鏡による治療) :18件