すい臓がんは発見・治療が非常に難しいがんのため、治療成績がすべてのがんの中で最も悪いことが知られており、日本人の40人に1人がかかるといわれています※。すい臓がんは早期発見・早期診断・早期治療がとても重要です。NTT東日本 関東病院 肝胆膵内科では、胆のう・膵臓疾患の内視鏡診断や治療を積極的に行っており、中でもすい臓がんの治療成績向上を最重要課題としています。 そこで当院では新たに「五反田膵癌連携プロジェクト」を立ち上げました。これは、地域のクリニックと連携して、すい臓がんになるリスクが高い方を対象に定期的なフォローアップをし、またすい臓がんを疑う症状や検査結果が出た場合に迅速に精密検査を行い、早期に診断、治療を開始しようというものです。 治療は、肝胆膵内科・外科・腫瘍内科が連携してあたります。当院の人間ドックにも精密検査であるMRI(MRCP)、腫瘍マーカーが一式入っています。ぜひご活用ください。※2022年国立がん研究センターがん対策情報センターHPより
すい臓がんの高リスクと考えられる項目
症状 (すい臓がんの患者さんにおける症状の割合) | 原因のはっきりしない腹痛(78-82%) 背部痛(48%) 食欲不振・早期飽満感(62%) 黄疸(56-80%) 体重減少(66-84%) |
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糖尿病 | 1年未満:5.38倍 1~4年:1.95倍 5~9年:1.49倍 10年以上:1.47倍 特に診断早期の方、急な増悪傾向を認める方 |
血液検査異常 | 膵酵素異常:アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1 膵腫瘍マーカー異常(2cm以下のすい臓がんにおける陽性率):CA19-9(53.2%) Dupan-2(37.2%)、Span-1(50.7%)、CEA |
画像検査異常 (すい臓がん罹患リスク) | 膵のう胞(3倍) 膵石灰化(13.3倍) 膵管拡張 膵腫瘍 胆管拡張 |
患者背景 (すい臓がん罹患リスク) | すい臓がんの家族歴(4.5-32倍) 慢性膵炎(13.3倍) 肥満(BMI30以上で1.71倍) 飲酒(1.22倍) 喫煙(1.68倍) |
人間ドック
当院では、重大な病気の早期発見・予防ができるよう、短時間で色々な検査を、また患者さんそれぞれに合った内容を選べるよう複数のコースをご用意しています。 複数のコースについて詳しくは人間ドックのページをご覧ください
コース例
- 膵臓・胆のう・胆菅がんコース(1日) 膵管から発生するがんの診断に有用なMRI(MRCP)、腫瘍マーカーによるスクリーニングを含む
- マイクロアレイ検査コース(1日) 胃・大腸がん、胆道がん、すい臓がんについて早期がんも含め判定できる血液検査を含む
- 2日コース② 上部内視鏡検査、胸部CT検査を標準検査として備えた全身的なスクリーニング、膵管の画像を撮影するMRI(MRCP)検査を含む
先生よりメッセージ
膵臓がんに対しては、がんゲノム医療も治療の選択肢になっています。治療が困難とされた方への抗がん剤治療も積極的に行ってベストを尽くしますので、まずはご相談ください。
先生にお話を聞きました!
肝胆膵内科医長 藤田 祐司
2008年宮崎大学医学部卒業。横浜労災病院、横浜市立大学附属病院などを経て現職。胆膵チームを率い、すい臓がんの治療成績向上に努める。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本膵臓学会認定指導医、日本胆道学会認定指導医。