斜鼻(鼻の曲がり)・鼻中隔湾曲症の治療|鼻中隔外鼻形成術を形成外科医が解説
斜鼻とは?
斜鼻(しゃび)とは、外見上、鼻が左右いずれかに曲がっている状態を指す医療用語です。原因としては、成長に伴い徐々に鼻が曲がってくる場合と、外傷によるものがあります。多くの場合、斜鼻は見た目の問題だけでなく、鼻中隔湾曲症を併存していることが多く、外見の曲がりと機能的な鼻閉が同時に存在します。成長過程において鼻中隔湾曲症が先行し、その影響で外鼻の変形(斜鼻)が生じることもあれば、外鼻の外傷によって鼻中隔の骨折が起こり、その結果として二次的に湾曲が生じる場合もあります。
治療について
治療では、
- 斜鼻(外見の問題)
- 鼻中隔湾曲症(機能の問題)
この二つの要素を同時に評価し、適切に治療する必要があります。
さらに斜鼻は、
- 鼻骨の曲がりが主体なのか
- 鼻軟骨の曲がりが主体なのか
- あるいは両者が関与しているのか
によって治療方針が異なります。
そのため、骨・軟骨・鼻中隔を含めた三次元的な構造評価が重要となります。
【症例】

上段:術前 下段:術後6ヶ月

上段:術前 下段:術後6ヶ月
概要
この方は幼少期に明らかな外傷のエピソードはありませんでしたが、成長とともに徐々に鼻の曲がりが目立つようになりました。見た目の曲がりに加え、鼻づまりも自覚され耳鼻科を受診されました。鼻の形と通気の両方を同時に改善できることを知り、手術治療を希望され、当院を紹介受診されました。
術前診察および分析
幼少期に明らかな外傷がなくても、成長に伴い斜鼻や中隔湾曲症が顕著になることがあります。思春期には鼻中隔軟骨や周囲の骨の成長が加速することが知られていますが、その成長速度の不一致が斜鼻・中隔湾曲症の発症機序の一つと考えられています。鼻中隔軟骨が骨性フレームを超えるように過成長した場合、行き場を失った軟骨が湾曲します。その結果、湾曲した鼻中隔に引きずられる形で外鼻の成長にも歪みが生じ、外見上の斜鼻として現れることがあります。
本症例では顔面非対称を認めるものの、それ以上に斜鼻が顕著でした。過成長した中隔軟骨は右鼻腔内へ凸の湾曲を呈し、鼻閉の原因にもなっていました。手術では、過成長した中隔のサイズを適切に調整することで、内在する歪みを解除する方針としました。
手術治療
オープンアプローチで手術を行いました。過成長した鼻中隔軟骨を減量し、骨性フレームに適合するサイズへ整えることで中隔の正中化が得られました。中隔の正中化に伴い、見た目の斜鼻も改善しました。本症例は軟骨性斜鼻が主体であったため骨切りは行わず、鼻軟骨の微調整を追加して手術を終了しました。術後1週間で抜糸を行いました。術後1か月時点では腫脹が残存していましたが、術後3か月頃より形態は安定してきました。
補足説明
鼻中隔外鼻形成術における肋軟骨の使用について
斜鼻・中隔湾曲症の治療において、湾曲した中隔軟骨の矯正は通気改善のみならず、見た目の改善にも極めて重要です。中隔軟骨の過成長が原因の場合は、サイズ調整のみで中隔が自然に正中化することがあります。一方、外傷が原因の場合は軟骨の単なる“たわみ”ではなく、軟骨自体の変形が生じていることが多く、単純なサイズ調整では矯正が不十分となります。その場合は、軟骨による補強が必要になります。補強材料としては、鼻中隔軟骨が十分に確保できる場合はそれを使用し、不足する場合には肋軟骨を使用します。肋軟骨は左右それぞれ12本存在し、鼻形成術では主に第6、7肋軟骨を使用することが多いです。肋軟骨は加齢とともに石灰化(骨化)を起こすことが知られていますが、若年者でも石灰化を認める場合があります。そのため、肋軟骨使用が想定される症例では術前CT検査を行い、石灰化の有無を確認しています。








