循環器内科

(1)概要

循環器内科は、全身の血液循環に関わる臓器(心臓、大動脈、末梢動脈、静脈、肺動脈)に起こる病気を取り扱う内科です。
主な病気としては、

  • 虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)
  • 弁膜症
  • 心筋症
  • 心不全
  • 不整脈
  • 大動脈疾患(解離性大動脈瘤など)
  • 末梢動脈疾患(下肢閉塞性動脈硬化症など)
  • 静脈血栓症・肺血栓塞栓症

などの診断・治療を行います。

(2)ポリシー

日々の診療から救急まで、断らない医療の実践を目指して

循環器疾患は、待ったなしの緊急の対処が必要なものが多いです。特に急性心筋梗塞、不安定狭心症、急性心不全、重症不整脈、解離性大動脈瘤、肺塞栓などは、発症後、数時間以内に適切な初期治療を行えるかどうかが生死を分けるといっても過言ではありません。そのため当科では、24時間365日、幅広い循環器疾患の患者さんも受け入れる体制を整えています。
普段の外来診療においても、新規の患者さんをみる新患外来にはいずれの曜日にも日本循環器学会認定の循環器専門医を持つ上級医を配置することで、多様な循環器疾患であっても見逃さずに対応できるような体制を整えています。

(3)特徴

24時間循環器救急診療

当科では、夜間・休日を含めた24時間365日様々な循環器疾患の患者さんを受け入れることができる体制を常に整えるよう努めています。急性心筋梗塞などに対する緊急カテーテル治療もいつでも可能であり、心臓血管外科との緊密な連携のもとに緊急手術にも対応しています。
また、救命救急処置を含む急性期の心臓疾患に対して集中治療を行うために、CCU(Cardiac Care Unit:心臓病集中治療室)が8床用意されており、24時間体制で集中的な治療や看護にあたっています。

より精度の高い検査、適切な治療選択肢の提供

当科は、多様な循環器疾患にも適切に対応ができるよう、高度な医療技術を提供しています。
虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の診断や治療では、320列CT、FFR-ct(通常はカテーテル検査により算出するFFR値を冠動脈CT像により算出する方法で、カテーテル検査をしなくても治療の必要な狭心症かどうかを判定できる)、心筋シンチグラフィー、薬剤溶出性ステントといった装置や器具を備えています。心臓カテーテル検査・治療では、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)、冠血流予備能比(FFR)などの検査を併用しながら、より正確性の高い治療ができるよう取り組んでいます。

不整脈治療におけるカテーテルアブレーション治療では、従来から行われている高周波アブレーションに加えて、クライオ(冷凍)アブレーションも実施しています。ペースメーカー移植術も可能で、致死的な不整脈に関しては突然死を防ぐために植え込み型除細動器(ICD)移植術を行います。

難治性の心不全に対しては、両室同時ペーシングによる心臓再同期療法(CRT)を、致命的不整脈を合併する心不全に対しては除細動機能が付加された両室ペーシング機能付き植え込み型除細動機(CRT-D)を行うこともあります。超重症な心臓機能低下に対しては、経皮的心肺補助装置(PCPS)をベッドサイドで装着し、心臓の動きを補助することが可能です。

チーム医療の実践

循環器疾患の治療では、1人の患者さんに対して、複数の医師、看護師、臨床検査技師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多くのスタッフが初期治療から退院支援まで関わります。緊迫した状況下でも、全員が適切に各自の役割を果たす「チームプレー」が欠かせません。
また、他診療科とのチーム医療も大切です。高齢の方の場合は特に、循環器疾患以外にも同時に複数の病気を持っていることが多くあります。このような患者さんに対しては、他診療科の医師とも密接なコミュニケーションを取りながら、日々の診療にあたっています。

チーム主治医制を導入

当科では、入院患者さんを1人の主治医でみるのではなく、複数の主治医でみるチーム主治医制をとっています。患者さんの経過や家族構成などをチーム全体で把握しているため、急変時などに対して迅速な受け入れのための体制を整えています。
また、循環器内科全体でのカンファレンスを毎日実施しているため、チームだけではなく、循環器内科全体でも患者さんの情報共有をしっかりと行うようにしています。


循環器内科を受診される方へ

現在、ほかの病院や診療所の先生にかかっている場合には、これまでの経過をお知らせいただく「診療情報提供書(紹介状)」をお持ちください。当科の場合、予約がなくても構いません。
また、診療所などから当科へ直接電話連絡ができるホットラインを運営しており、診療所で緊急性が高いと判断された患者さんの迅速な受け入れが可能です。
「胸が苦しくなる」「動悸がする」「息苦しい」「歩くと足が痛くなる」などは循環器疾患を疑います。これらの症状がある場合には、まずはお近くの診療所を受診いただきたいと思います。

部長 安東 治郎