放射線科
(1)概要
放射線科には放射線診断(画像診断)を専門とする放射線科専門医、放射線治療を専門とする放射線科専門医のほか、放射線診断あるいは放射線治療のサブスペシャリティを目指す専門医、専門医取得に向けて修練中の専攻医が所属しています。
画像診断
CT・MRI・アイソトープ(核医学)検査を主とした検査を担当し、放射線科専門医の責任の元で読影を行い、依頼科医師に対して画像診断報告書を作成しています。
また画像下治療(IVR)として、消化管や後腹膜出血等に対するカテーテルを用いた動脈塞栓術、肝がんに対する経動脈的化学塞栓術、内臓動脈瘤・動脈奇形に対する塞栓術、術後乳び胸等に対するリンパ管造影(塞栓術)、画像ガイド下生検・ドレナージなどの多種多彩な手技を行っています。
近年は耳鼻咽喉科・頭頸部外科からの依頼により、放射線診断医・放射線治療医の協働による頭頸部がんに対する超選択的動注化学療法併用放射線治療も行っています。
放射線治療
肺がん、前立腺がん、乳がん、喉頭がん、咽頭がん、子宮がん、食道がんなど、局所的ながんに対する放射線治療に取り組んでいます。
当科では、リニアック(直線加速器)という放射線治療装置を用いて、集中的かつ正確な放射線治療を心がけています。
具体的には、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、定位放射線治療(ピンポイント照射)と呼ばれる治療を行っています。また、関連する診療科と連携して、化学療法や手術治療など、さまざまな治療を組み合わせた集学的治療を行っています。
チーム医療の取り組み
当科では多職種が緊密に連携し、これらの治療をチーム医療で取り組んでいます。
画像診断では放射線診断を専門とする日本医学放射線学会ないし日本専門医機構認定の放射線科専門医、修練中の専攻医と、放射線部所属の診療放射線技師、看護部所属の看護師が安全に検査を実施できるよう日々業務に取り組んでいます。
放射線治療では、放射線治療を専門とする日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会認定の放射線治療専門の放射線科専門医、日本放射線治療専門放射線技師認定機構認定の放射線治療専門放射線技師を含めた診療放射線技師、日本看護協会認定のがん放射線療法看護認定看護師が在籍しており、それぞれの強みを活かして協働することで、よりよい医療の提供を目指しています。
• 日本医学放射線学会放射線科専門医総合修練機関
• 日本インターベンショナルラジオロジー学会専門医修練施設
• 日本核医学会専門医教育病院
• 日本放射線腫瘍学会認定施設
(2)ポリシー
画像診断では、依頼元である各診療科の要望を満たせるよう迅速かつ正確な画像診断および画像下治療の実施を心がけています。
放射線治療では、先進医学的根拠に基づいた、高精度で正確な画像診断、放射線治療を丁寧に施行しています。放射線をがんに対し高精度に集中させ、正常な臓器を避けて治療するために、専用コンピュータの「高精度三次元放射線治療計画システム」を用いて、患者さん一人ひとりに適した治療計画を立てています。
(3)特徴
先進技術を搭載したCT・MRIを活用しての画像診断
画像診断では、診療放射線技師との検討の下、先進技術である深層学習を応用した画像再構成技術等を搭載したCT装置を駆使し、画像診断ワークステーション上の読影支援技術を適宜併用しています。
大部分のMRI装置では、造影剤を用いない動脈スピンラベリング(ASL)法による全脳の灌流画像の撮像が可能で、さらに一部装置では、情報技術を用いて少ない計測データから画像を取得する新しいMR高速撮像法である圧縮センシング技術や、複数のスライスを同時励起・同時収集するマルチバンド撮像技術を利用した撮像時間の短縮も行っています。
これら先進技術を活用しつつ、先進医療情報に基づいた確信度の高い画像診断を目指しています。
副作用を軽減する強度変調放射線治療(IMRT)
当科では、病巣に対して多方向から強度の異なる放射線を照射できる強度変調放射線治療(IMRT)を行っています。
IMRTの主な対象部位は、前立腺、頭頸部、脳、食道、子宮など婦人科系臓器、肺、その他の部位です。具体的には、このIMRTを回転させながら行う「回転強度変調放射線治療(VMAT)」と呼ばれる方法を用いています。
IMRTの実施により、治療効果の向上を目指しながら、同時に副作用を抑えることが期待できます。
痛みの緩和や術後の放射線治療も実施
このほか、一般的な乳がんの温存手術後の術後照射や、痛みなどの症状を緩和するための放射線治療も行っています。
近隣医療施設のみなさまへ:画像検査のご案内
放射線科・放射線部では、医療施設の先生方より、CT、MRおよび核医学(アイソトープ、RI)検査の画像診断、骨塩定量測定検査のご依頼をお受けしております。
詳細はこちらをご覧ください。
患者さんへ:臨床研究へのご協力のお願い
放射線科では患者さんの情報を用いた以下の医学系研究を、倫理委員会の承認ならびに病院長の許可のもと、倫理指針および法令を遵守して実施しておりますので、ご協力をお願いいたします。
•日本インターベンショナルラジオロジー学会における症例登録データベースを用いた医学系研究
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•当院にて画像診断検査を受けられる方へ:
画像診断研究における画像使用へのご協力のお願い
詳細はこちらをご覧ください。
•当院で放射線治療を受けられた患者さんへ:
放射線治療症例全国登録(Japanese Radiation Oncology Database:JROD)へのデータ提供
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部長 山田 晴耕