皮膚科

(1)概要

皮膚科は皮膚に出る症状すべてを扱っている科です。アトピー性皮膚炎や乾癬、薬疹といった炎症性疾患、蜂窩織炎や帯状疱疹といった感染症など一般的な疾患のほか、NTT東日本関東病院の皮膚科では皮膚外科に積極的に取り組んでいます。

(2)ポリシー

病診連携に積極的に取り組み、地域の患者様に貢献できるよう、また患者様にやさしいよりよい医療を提供できるよう努力してまいります。

(3)特徴

皮膚科は5人の常勤医体制で、すべての皮膚疾患に対応するように心掛けています。入院が必要な患者さんもベッドが空いていれば即日入院が可能です。アトピー性皮膚炎や乾癬といった炎症性皮膚疾患も、生物学的製剤やJAK阻害薬といった最新の治療を積極的に導入しています。重症薬疹にも対応しています。皮下の膿瘍や血腫も必要があれば当日に切開しています。診断が難しい患者様も迅速に皮膚生検を行い、治療につなげています。以下は皮膚外科領域の治療方針です。

①皮膚腫瘍

粉瘤、脂肪腫などの良性腫瘍や、基底細胞癌、有棘細胞癌などの悪性腫瘍が対象です。粉瘤や母斑などは日帰り手術、大きめの脂肪腫等は入院手術で切除しています。自費となりますが脂漏性角化症などの小さなものは炭酸ガスレーザー治療も行っています。悪性腫瘍は切除範囲が大きければ、植皮術や有茎皮弁術も皮膚科で対応しています。眼周囲や鼻部など整容的に問題になる部位は形成外科に手術を依頼、協力して治療にあたっています。悪性黒色腫のみ、体制が整っておらず扱っておりません。

②下肢静脈瘤

NTT東日本関東病院では、2008年から皮膚科で下肢静脈瘤を専門外来で診療してきました。2008年から2015年まで主に抜去切除術(ストリッピング術)で1500例、2015年以降現在まで、レーザーを使用した血管内焼灼術を700例近く施行してきた実績があり、現在まで一度も大きな合併症はありません。火曜、木曜午後に予約制で静脈瘤の初診外来、御一人の患者さんに30分以上かけて、問診から初診医による超音波検査、手術の相談、圧迫療法の指導までを行っています。外科的治療は主に血管内焼灼術ですが、局所麻酔、日帰りで30分程度の時間で術後の痛みはほとんどなく、また日常生活に制限のほとんどない手術になります。下肢静脈瘤は重症になると下腿の皮膚炎や脂肪織炎、皮膚潰瘍を生じるため皮膚科で治療を始めましたが、一方良性疾患ですので、手術するかどうかは患者さんと相談の上で決めさせていただいています。

③皮膚潰瘍

重症下肢虚血による動脈性潰瘍は、循環器内科で狭窄した動脈を血管内治療で拡張した後、治療にあたります。ときに切断も必要になるため、形成外科、リハビリテーション科ほか関係各科、部署と連携した治療となります。このため、月1回院内でフットケアカンファレンスを行って方針を決めています。静脈性のうっ滞性潰瘍は、一次性下肢静脈瘤が原因であれば外科的治療を優先し、圧迫療法を継続して行っていただきます。潰瘍範囲が広ければ入院加療とし、ときに陰圧吸引療法や植皮術も行ないます。その他、臀部の毛巣洞に対する有茎皮弁術、慢性膿皮症に対する植皮術や生物学的製剤治療、低温熱傷など3度熱傷後の皮膚潰瘍に対する植皮術なども行っています。


受診される方へのメッセージ

医学の進歩に伴い、皮膚の病気に対する新しい治療薬や治療機器が次々と登場したことで、過去には想像もできなかった改善が見込めるようになりました。しかし、皮膚の病気には、まだまだ慢性に経過する難治性の病気も少なくありません。
当科は、今後も患者さんの治療満足度向上のために日々努力してまいります。皮膚の病気の中には治療に時間がかかるものも存在するということをどうかご理解いただき、共に改善に向けた治療を続けていけたらと願っています。

部長 出月 健夫