顔に急激かつ耐え難い痛みがおこる「三叉神経痛」。日常生活の些細な動作で痛みが誘発されるため、QOL(生活の質)を著しく低下させる病気です。鼻の痛み、歯の痛みとして認識する人も多く、正しい治療に結びつくまで時間がかかるケースも少なくありません。
Contents
NTT東日本 関東病院で対応している治療
【脳神経外科】
外科手術で原因を取り除き根本から改善する
三叉神経を圧迫し、痛みを発生させている血管や腫瘍を取り除く外科手術を実施。耳の後ろを切開して頭蓋骨に小さな穴を開け、接触している血管や腫瘍を取り除きます。手術のリスクは伴いますが、三叉神経痛における根治的治療であり、手術後すぐに痛みの消失が期待できるのが大きな特徴です。腫瘍の位置などで後ろ側からの手術が難しい場合、難易度が高い前側からの治療にも対応していますので、ぜひご相談ください。薬物療法の効果が薄れた方、神経ブロック治療で短期的な再発を繰り返している方など、年齢や全身疾患などを見て適応があれば積極的に手術を行います。
【ペインクリニック科】
最先端の機材と高い技術で痛みの軽減・消失を図る
痛みのある部位に応じて、適した薬剤を注射し、痛みや炎症を抑える神経ブロック治療を行います。原因がある場所や、副作用のまひやしびれ、違和感などの出方を見極めながら、神経自体を熱凝固させる治療や、低温の高周波を神経に流す治療など、さまざまな選択肢から個人に合わせて最善のものを選択。ペインクリニック科の長い歴史の中で培ってきたノウハウと経験を生かし、三叉神経痛の主訴である痛みを軽減させ、生活の質の向上をめざします。持続効果は1度の神経ブロック治療で約1年ほど。薬剤が合えば、2年から5年にわたって痛みのない状態を維持することも期待できます。
【ガンマナイフセンター】
他の選択肢が絶たれた際の最後の砦
放射線の一種であるガンマ線をピンポイントで当てることによって、痛みを消失させる治療を行っています。もともとは、開頭せずに病変を破壊できる画期的な治療法として脳血管障害や脳腫瘍などに対して行われてきました。侵襲が少ないため、全身麻酔下での手術が困難な方、手術後の再発の方など、脳神経外科やペインクリニック科でコントロールできないケースに対応が可能です。2015年からは、三叉神経痛に対するガンマナイフ治療が保険適用になり、より受けやすくなりました。他の治療法で効果が見られない方は、かかりつけ医に相談の上で当院を受診なさってください。
先生にお話を聞きました!
脳神経外科 部長 井上智弘
1997年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院の関連病院である会津中央病院、米国メイヨークリニック、富士脳障害研究所附属病院などを経て、2016年当院着任。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。
ペインクリニック科 部長 安部洋一郎
1991年山形大学医学部卒業。横浜市立大学医学部附属病院麻酔科、関東逓信病院ペインクリニック科などを経て、2004年当院に着任。2011年より現職。日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医、日本麻酔科学会麻酔科専門医。得意分野は三叉神経痛を中心とした神経ブロック治療全般。
ガンマナイフセンター センター長 赤羽敦也
1991年東北大学医学部卒業。東北大学医学部附属病院、広南病院、古川星陵病院を経て2002年より当院にてガンマナイフ治療に携わる。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。得意分野は脳腫瘍、脳動静脈奇形に対する集学的治療、ガンマナイフ治療。ガンマナイフ治療の豊富な経験を持つ。