三叉神経痛とは?

顔面の片側のみが激しく痛む神経痛です。「この世で感じる最大の痛み」「痛みの女王」と言われるほどの強い痛みで、不快感が大きく、ひどくなると満足に日常生活を送ることができません。痛みがない期間も、痛みが起こることへの恐怖感や、以前感じた痛みの記憶から、「食べる」「顔を洗う」といった痛みを引き起こす動作ができなくなることもあります。

三叉神経痛の痛みの特徴

  • 顔の片側に、強い痛みが起きる
  • 食事、髭剃り、メイクなどの日常動作がきっかけで痛みが起きることが多い
  • 顔の中に、触るといつも痛みを誘発する場所がある
  • 痛い期間と、まったく痛くない期間がある
  • 痛みがある時間は短く、数秒から2分ほど

三叉神経痛を疑う症状がある場合、痛みの状態や症状の経過をヒアリングし、必要に応じて頭部MRIを撮って三叉神経の状態を確認します。治療は内服の他、神経ブロック治療、根治的手術、ガンマナイフ治療があり、患者さんの年齢や痛みの度合いなどを踏まえて治療法を決定します。

どこに行っても解決しない顔の痛み、
もしかしたら「三叉神経痛」かも…

顔の片側に突発的・短期的な強い痛みがある

三叉神経は、顔の感覚(痛覚、触覚、冷熱感)を察知し、脳に伝える役割を果たす神経です。こめかみの奥にある三叉神経節を起点として3本に枝分かれすることから「三叉神経」と呼ばれ、それぞれ「額から上まぶたまで」、「下まぶたから上唇の間」、「下唇から下」の3つの領域を支配しています。

三叉神経痛は、この三叉神経の3本のうち、いずれかの神経が支配する領域に痛みを感じる病気です。原因はさまざまですが、脳幹から分岐する部分が血管によって強く圧迫されることにより、血管の拍動が神経に刺激を与えて痛みを引き起こすことが多いといわれています。痛みは顔面の片側に突然生じ、それほど長く続きません。一般的には数秒、長くても2分以内には治ることが多いでしょう。痛みが数十分にわたって続いたり、1日中痛んだりする場合は、物理的に痛みを誘発している他の要因があると考えられます。

痛む時期と痛まない時期を繰り返すのが特徴

三叉神経痛の痛みは「痛みの女王」と呼ばれるほど強く、激烈です。痛みの感じ方は人によって異なりますが、「口に入った銀紙を奥歯で噛んだときのキーンとした痛み」「刺すような痛み」「電気が走るような痛み」などと表現されます。その多くは、歯磨き、髭剃り、化粧、食事など、日常生活の中のごく一般的な動作によって、前触れなく起こることがほとんどです。そのため、痛みの原因を特定できず、虫歯を疑って歯科を受診したり、副鼻腔炎などを考えて耳鼻咽喉科を受診したりと、なかなか適切な治療にたどり着けないことも珍しくありません。すると、痛みを引き起こす日常動作に恐怖感が生まれ、生活に影響を及ぼします。また、三叉神経痛の痛みは、激しく痛む時期と、まったく痛まない時期が明確に分かれていることも特徴の一つです。痛みがない時期はまったくの無症状ですが、しばらくすると再び痛みが現れるので、「また痛むのではないか」という不安から日常生活がままならなくなることも多いようです。 三叉神経痛の治療法には、脳神経外科での根治的手術、ペインクリニック科での神経ブロック治療、さらにはガンマナイフ治療があり、患者さんの全身状態や年齢、病態によって最善の治療法が異なります。NTT東日本 関東病院では、考え得る治療法のすべてをそろえ、診療科を超えた協力体制のもとで個別に最善の選択肢をご提案できる体制を整えています。