股関節の役割

股関節は体幹の中央にある関節で、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)と骨盤を連結しています。受け皿の骨である寛骨臼(かんこつきゅう)と球体をした骨頭とで構成していて、前後左右に動かすことができます。動いたり歩いたりするときに背骨と連動するため、人体で最も大切な関節の1つといわれています。

人工関節とは?

骨折、軟骨がすり減る、骨が壊死して股関節が潰れるなど何らかの原因で股関節が正常に機能しなくなり、痛みが生じたり関節の動きが悪くなってしまった際に、役立つのが人工股関節です。股関節の損傷した部分をすべて切り取り人工股関節(インプラント)を入れることで、痛みを取り除き歩く力を回復させることが期待できます。

歩くと起こるその痛み、人工関節の出番かもしれません

手術支援ロボットの登場でより精巧な治療が実現

人工関節が必要になる三大疾患は、変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、関節リウマチといわれていますが、超高齢社会に伴い新たに増えてきているのが骨粗しょう症に起因する大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折です。これは外傷性の骨折とは違い、骨量が減って骨が弱くなってしまったことで骨が潰れてしまった状態をいい、歩くことが困難になるほどの痛みを伴います。また、人工関節の適応となる最も多い疾患は変形性股関節症であり、そもそも日本人の股関節の骨格が影響し、寛骨臼形成不全という股関節が不安定な状態であることも原因の1つとされています。これらが原因で、股関節が変形し強い痛みが生じることで、歩く、座る、立つなど日常生活に支障を来す場合には治療が必要となります。

治療はまず薬物療法やリハビリテーションから始めますが、これらの対症療法が効かない場合、痛みを根本的に解決するためには人工股関節置換術が適しています。この手術を受ける人は年々増えていて、需要が高まるとともに治療も進化を遂げてきました。二次元のエックス線画像にプラスティックのプレートを当ててトレーシングペーパーに書き写すという原始的な術前計画をもとにした治療だったものが、三次元のCT画像による術前計画をコンピューターナビゲーションシステムを使って手術中に再現できるようになり、計画と実際の治療との誤差はほとんどなくなりました。そして、さらに正確な手術をめざして誕生したのがロボティックアーム手術支援システムMako(メイコー)です。当院では、2021年夏に導入し、積極的にMakoシステムによる人工関節手術を実施しています。