副院長の渋谷先生がインタビューを行いました!
肺がんを中心にロボット手術を牽引
渋谷:檜山先生がいらしてから、呼吸器外科でもロボット手術が導入されたと聞いています。
檜山:私が着任したからというよりは、マンパワーが増えたことにより新しい技術を導入する余裕が出て、保険適応のタイミング(2018年4月から呼吸器外科領域でのロボット手術が保険収載された)がたまたま合ったということでしょうか。松本順部長の強力な推進力のもと、当科では2018年9月からロボット支援胸腔鏡下肺葉切除を開始し、科として着実に実績を上げています。私も立ち上げから助手として関わっています。術者としては松本部長に引き続き、2019年からロボット手術を開始して、3年間ですでに80人以上の患者さんを執刀しました。
渋谷:手術の際など、男性に比べて体力面などでビハインドを感じることはありませんか。
檜山:手術は力仕事のイメージがありますよね。ですが、最近の手術機器は改良が進んでいて、ロボットが最たるものですが、こうなってくると筋力のなさはもはやハンデではなく、手先が器用でさえあれば外科医師としてやっていけます。良い時代になりました(笑)。そういった意味で感じるビハインドはあまりありませんね。ただ、男女平等が声高に叫ばれるようになった現在でも、担当医師が女性だと漠然と不安を感じる方もまだまだいらっしゃるようです。術前の説明を尽くすことで、そういった患者さんの不安にも寄り添えればと思っています。逆に女性医師で良かったことといえば、呼吸器外科の領域は胸部の手術創となるため、女性患者さんでは乳房との兼ね合いもあり、特に手術後の下着についての相談をよくいただきます。「女性に優しい」と公言している松本部長以下、傷の見た目にも配慮した手術と術後ケアを行っていますが、男性医師にはなかなか聞きにくいことかもしれませんね。
渋谷:がん診療連携拠点病院である当院において、特に原発性肺がんについては地域がん診療の中心的な役割を担っていただいています。
檜山:肺がんの診断・治療には呼吸器内科と呼吸器外科の緊密な連携が必要です。当院では医局(医者の詰所)が呼吸器内科と呼吸器外科でまとめられており、隣の机の先生にちょっと相談、が気軽にできるため、治療方針決定の判断が遅滞なく行えている印象があります。
渋谷:他科との連携は当院の大きな強みですよね。最後に、今後の展望を聞かせてください。
檜山:これまで通り目の前の患者さんと向き合うことが第一ですが、当院からも新しい知見や技術を発信し、より多くの患者さんの役に立てるよう精進していきます。
当院は、呼吸器外科に限らず、どの診療科も患者さんの負担軽減につながる新たな技術の導入に積極的です。患者さんのためになることは何か、患者さんにとって最善の治療はどれか、真摯に考えて治療にあたりますので、安心してお任せください。
先生にお話を聞きました!
呼吸器外科 檜山 紀子
2006年東京大学医学部卒業。他院での研修を経て、東大病院呼吸器外科へ。2018年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。同年4月より現職。日本外科学会外科専門医。日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医。力を入れている分野は肺がん、縦隔腫瘍に対するロボット手術、気胸。