副院長の渋谷先生がインタビューを行いました!
治療の可能性を広げる「IVR」を専門にする医師
渋谷:放射線科というと画像読影のイメージが強いですが、大澤先生は画像下治療(IVR)もお得意なんですね。
大澤:研修医時代、大量出血の緊急オペに放射線科の先輩医師が駆けつけ、IVRで見事に止血するのを目の当たりにしました。読んだ画像をもとに高度な治療もできるという点に強い魅力を感じ、今に至ります。
渋谷:IVRについて、簡単に概要をご説明ください。
大澤:X線やCT、超音波などの画像診断装置で体の中を透かして見ながら、カテーテルや針などの細い医療器具を体内へ入れて、病気の治療を行います。止血やがん治療、内臓動脈瘤などの血管内治療、良性腫瘍や痛みに対する症状緩和の治療もあります。治療の選択肢の1つとして、各診療科の先生方の依頼を受けて動くことが多いですね。
渋谷:非常に幅広い症状に対応できるのですね。
大澤:低侵襲で臓器横断的に治療できるのがIVRの強みです。今以上に、他科の「困った」に広く対応していきたいと思っています。
柔軟に働き方を変えてキャリアを継続できる
渋谷:IVRの領域は、女性医師も多いのですか。
大澤:いえ、残念ながら多くありません。そもそも、IVRを専門とする医師は放射線科医師全体の17%。女性医師はIVRを専門とする医師のわずか7%です。学会の依頼で学生向けにIVRの魅力をプレゼンテーションするなど、後進の育成にも力を入れています。
渋谷:放射線科のワークライフバランスはいかがですか?
大澤:現時点で2名の女性医師が育児と両立しながら働いています。画像読影は今後在宅ワークがより普及するでしょうし、妊娠・出産などのライフステージの変化があってもキャリアを継続しやすいと思います。私のようにIVRに重心を置いている医師でも、画像読影の技術がベースにあればプライベートの状況によって比重を変えられますから、他科に比べてワークライフバランスをとりやすいのではないでしょうか。
渋谷:性別に関係なく、理想のキャリアに近づける職種なのですね。
大澤:はい、そう思います。一方、体全体の疾患に関わる中で、女性特有の悩みに触れることも少なくありません。子宮筋腫など、「痛みがある」「出血量が多い」といったつらさを自分ごととして感じとり、患者さんに寄り添えることは女性医師ならではの強みだと感じています。幅広い領域でお役に立てるよう、IVRの周知と技術研さんに努めてまいります。
IVRの領域はさまざまな診療科に関わるので、診療科間の壁が低く他科の先生方と気軽に相談し合えることや、看護師や放射線技師をはじめとした多職種がよく協力してくださる環境はとてもありがたいですね。今後は後進を育て、より診療科を盛り立てていきたいです。
先生にお話を聞きました!
放射線科 大澤 まりえ
2010年聖マリアンナ医科大学卒業。東京北医療センター、帝京大学医学部附属病院などを経て、2018年より現職。IVRを専門とする医師。IVR治療の魅力を若い世代に伝えるべく、啓発活動にも力を入れている。