形成外科を立ち上げ、他科との関係を確立

渋谷:伊藤先生には、乳腺外科と、形成外科の立ち上げを担っていただきました。

伊藤:2019年に入職して乳房再建の立ち上げに関わった後、2021年に形成外科を立ち上げました。形成外科では、私ともう1名、中嶋先生が在籍しており、創傷外科の知識や皮弁などの技術を用いて幅広く形成外科疾患を診療しています。また、院内のブレストセンターにおいて、乳房再建の手術を行っています。

渋谷:ゼロからの立ち上げで、さまざまなご苦労があったのではないですか。

伊藤:形成外科は、頭のてっぺんから足のつま先まですべてのケガや傷の修復に関わります。対応範囲が広いうえ、比較的新しい診療科でもあるので、まずは「形成外科が何をする診療科なのか」「何ができるのか」を知ってもらうことから取り組みました。他科で手術があると聞けば声をかけて同席させてもらったり、雑談のタイミングで診療科の困りごとを伺ったりしながら、「NTT東日本 関東病院で求められる形成外科」を模索して少しずつ形にしていった感じです。

乳房再建の技術で、患者さんの未来に光を

渋谷:先生のご専門は乳房再建ですね。どのようなきっかけでこの道を選ばれたのでしょう。

伊藤:学生時代に乳房再建で乳房を取り戻した女性のスライドを見たんです。こんなことができるんだ!と純粋に驚きました。乳がんと診断された方は、がんに対する不安に加えて、乳房がなくなることに対する動揺とも戦わなくてはなりません。乳房再建という技術によって安心して治療に専念でき、治療後の人生を自信を持って生きていくお手伝いができるなら、こんなに素晴らしいことはないと思って形成外科に進みました。

渋谷:手術など、体力面できついと感じることはありませんか?

伊藤:手術に入るとあっという間に5~6時間は経っているんですよ。さすがに10時間を超える手術などでは少し手を休めますが、通常の手術であれば疲れを感じる暇もなく一気に駆け抜けてしまいます。

渋谷:キャリアの展望を聞かせてください。

伊藤:患者さんに少しでも良い医療を提供できるようになりたいとまい進してきた結果、今のキャリアがついてきたと感じています。今後も変わらず自己研さんに励み、長く働き続けていきたいです。

乳房再建の勉強会を開催した際、本当にたくさんの方が参加してくださり、意識の高さに驚きました。専門外のことも積極的に学び、質の高い医療につなげていこうという意欲のあるスタッフが多いと感じます。診療科の垣根が低く、相談しやすいのも魅力ですね。