化学療法中の体重減少について

化学療法治療中は抗がん剤の影響などで、食事摂取量がいつもより少なくなる方もおられます。また、ご病気によって身体の中での炎症反応が強いと、筋肉量が落ちやすいと言われています。
食事摂取量が低下する原因としては、抗がん剤の副作用によって起こる嘔吐・吐き気・味覚障害・口内炎・下痢・便秘や、がんが消化管を圧迫することでの通りにくさ、手術で胃などの消化管を切ることでの障害、がんによる痛みなどがあります。これら様々な症状がみられ食欲低下を助長しています。さらに、化学療法中は、免疫力が下がるため、感染症などを起こしやすくなるためバランスのとれた食事を摂り、体重が減らないようしっかりとエネルギーを補給することが大切です。

半年間で5%以上の体重減少は、栄養状態が悪くなってきているサインです。意図的でない体重の減少はダイエットと違い、すぐに疲れてしまったり、転倒しやすくなったりと日常生活動作や生活の質に良くない影響を与えるとされています。そのため、体重を減らさないように、食欲があるときはしっかり食べるようにしましょう。

タンパク質摂取を増やすための工夫

特に、筋肉量を落とさないようにエネルギーとタンパク質は十分量摂取しましょう。
たんぱく質摂取量増加のための工夫として、例えば、パンと紅茶だけでなく、ヨーグルトや目玉焼き、ソーセージなどをつけたり、チーズをのせてピザトースト風にしたり、紅茶を黄な粉牛乳に変えたりしましょう。

たんぱく質摂取量増加のための工夫の画像

がん治療中に必要なエネルギー量とタンパク質量の目安は以下の通りです。

例えば、体重60㎏の方だと1日の摂取エネルギー量は、1500~1800kcal、たんぱく質60~75gになります。実際の食事は写真のようになります。(こちらは当院での1日のお食事です)

【朝食】
【朝食】
食パン6枚切れ2枚
ミネストローネ
ブロッコリーサラダ
チーズ
牛乳
【昼食】
【昼食】
ポークカレー
海藻サラダ
福神漬け
果物
【夕食】
【夕食】
米飯200g
はんぺんの澄まし汁
肉じゃが
オクラと山芋の和え物
果物

3食今まで通り食べられる方は問題ありませんが、食事があまり摂れない方は、3食以外におやつの時間を設け、不足している栄養素を補うようにしましょう。
おなかが空かないという方もおられると思います。
そんな時は、時間を決めて食べるようにし、少量で栄養価の高い経口栄養補助食品を利用しましょう。

市販で購入できる経口栄養補助食品の画像

市販で購入できる経口栄養補助食品
飲料タイプ、ゼリータイプ、アイスタイプ、スープタイプと色々な形態、味が発売されています。

また、量を減らして見た目が負担にならないよう、味付けを変える、さっぱりした食品に変更するということも食欲がないときにできる工夫です。
それでも体重が減らないように食べるのが難しいという方は、管理栄養士または主治医、看護師等の医療スタッフに相談してください。一緒に解決案を考えていきましょう。