保育所や時短勤務制度を導入し、女性医師のキャリア継続を支援
人口減が進む中、医療業界でも女性活躍への期待が高まっています。しかし、OECD(経済協力開発機構)加盟国の女性医師比率が39.3%であるのに対し、日本は22.8%(2020年調べ)と、残念 ながら性差の解消には至っていません。一方、当院の女性医師は常勤医師のみで23.4%、非常勤医師を含めると41.8%と非常に高い比率を示しています。背景には、併設する保育所や、女性活躍に理解があり環境 整備に尽力してくださっている大江隆史院長、亀崎康隆事務長の存在があります。2023年1月時点で、時短勤務者が5名、産休取得者が1名、育休取得者が2名と、出産·育児と両立できる制度の利用者も増えました。中には男性の育休取得者もおり、「女性が働きやすくなった」というより「男女の区別がなくなってきた」のかもしれないと感じます。
お互いに信頼と尊敬をもって、平等に強みを発揮できるように
私が医師になった頃を振り返ると、性別に対する一般論で診療科を限定されたり、女性医師に気遣いや優しさを期待されたりすることが確かにありました。私が携わっている「日本女性腎臓病医の会」のように、女性医師の育成とキャリア継続の支援を目的とする組織が数多く存在することからも、女性たちの努力の歴史が伺えます。
時代が変わり、ジェンダーレスが浸透した今、若い女性医師たちは性別に気負いや負い目を感じることなく男性と同様のキャリアを獲得するようになりました。病院、ひいては医療業界全体にとっては、このようにすべての医師が性差なく得意分野で力を発揮し、「お互い様」の精神で助け合える環境が理想でしょう。仲間を尊敬し、信頼し合えるNTT東日本 関東病院の良さをさらに引き出せるよう、引き続き努力してまいります。
当院では、女性であることを理由に優秀な医師がキャリアを諦めることがないよう、ライフステージの変化に柔軟に対応できる環境と制度を構築してきました。働く人の考え方も少しずつ変わり、ジェンダーバイアスのない風土ができつつあると自負しています。おかげで、高い技術と向上心を持つ医師がさまざまな診療科で活躍してくれるようになりました。ジェンダーバイアスがない時代とはいえ、女性にしか相談しにくい場合はやはりあると思います。有能な女性医師が豊富な当院への受診をお勧めします。
先生にお話を聞きました!
副院長 高血圧・腎臓内科部長 渋谷 祐子
1987年浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学附属病院、東京専売病院(現・国際医療福祉大学三田病院)、浜松医科大学第一内科を経て1994年よりNTT東日本関東病院勤務。高血圧・腎臓内科部長、血液浄化室長を務め、2022年には当院初となる女性副院長に就任。