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つなぐ医療

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2024.12.18

去勢抵抗性前立腺がんの最新治療

#がん #医師 #疾患と治療

去勢抵抗性前立腺がんとは

前立腺がんは精巣や副腎で作られる男性ホルモン(アンドロゲン)の刺激を受けて増殖する性質があります。この男性ホルモンの産生を抑制したり、前立腺がん細胞への作用を拮抗する治療が前立腺がんのホルモン療法になります。
しかし、前立腺がんに対するホルモン療法の効果は永続的なものではなく、どこかで治療抵抗性の前立腺がんに変化してしまいます。この状態を去勢抵抗性前立腺がんと呼びます。

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)になるまでの経過イメージ図

去勢抵抗性前立腺がんの最新治療法

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)は、男性ホルモンを抑える治療に反応しなくなった前立腺がんです。このタイプのがんは治療が難しいとされていますが、最近の研究で新しい治療法が見つかっています。

遺伝子検査の重要性

去勢抵抗性前立腺がんの治療には、遺伝子検査が大きな役割を果たします。遺伝子検査には、BRACAnalysisや包括的ゲノムプロファイリング(CGP)があります。これらの検査を行うことで、がんの原因となる遺伝子の変異を特定し、最適な治療法を見つけることができます。

遺伝子の変異について

遺伝子の変異には2種類あります。体細胞系の変異は、生涯の中で体の細胞に起こる変異で、遺伝しません。一方、生殖細胞系の変異は、親から子へと遺伝する変異です。これらの変異を調べることで、家族性のがんリスクを評価することができます。

当院での遺伝子検査

遺伝子検査イラスト

当院では、腫瘍内科が中心となって遺伝子検査を行っています。BRACAnalysisは血液を使って生殖細胞系の変異を調べ、CGP検査は血液や腫瘍組織を使って体細胞系と生殖細胞系の両方の変異を調べます。

個別化医療の提供

遺伝子検査の結果に基づいて、患者さん一人ひとりに最適な治療法を提供します。特に、BRCA1/2遺伝子に変異がある患者さんには、PARP阻害剤(オラパリブやタラゾパリブ)が適応になります。

先生からメッセージ

去勢抵抗性前立腺がんの治療には、遺伝子検査が非常に有効です。遺伝子検査を受けることで、より効果的な治療法を見つけることができる場合があります。去勢抵抗性前立腺がんでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

先生にお話を聞きました!

中村真樹写真

泌尿器科部長 中村 真樹

2001年東京大学医学部卒業。2011年東京大学大学院医学系研究科外科学専攻修了。専門は、泌尿器悪性腫瘍、ロボット支援下手術。東京大学医学部附属病院などでの勤務を経て、2023年より現職。東京大学医学部非常勤講師。東京医療保険大学 大学院看護学研究科 臨床教授。日本泌尿器科学会泌尿器科専門医。

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