がん薬物療法の進化は目覚ましく、患者さんの福音となる新しい薬が次々と登場しています。患者さんの病状や人生観、価値観を踏まえ、一人ひとりを最善の治療につなぐ専門家集団、腫瘍内科をご紹介します。
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腫瘍内科ってどんな診療科?

腫瘍内科ってどんな診療科?

臓器横断的に腫瘍を診断。多職種連携でがん医療を行う診療科です。
腫瘍内科は、がん治療の3本柱である「手術療法」「放射線療法」「薬物療法」のうち、抗がん薬を使った治療を検討している患者さんを対象としています。診療科を越えてあらゆるがん種を診るのが特徴で、医師や看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などが多角的な視点で個別最適な診断・治療、緩和ケア、支持療法を追求。患者さんが「自分に合ったがん医療」を見失わないよう並走します。
多職種の専門的視点で、多面的に評価・個別化された 包括的ながん医療を実現
日本における従来のがん治療は、例えば消化器なら消化器内科・外科、肺なら呼吸器内科・外科というように、がんが発見された臓器によって担当する診療科が決まっていました。しかし、新薬が次々と出現して薬物療法が飛躍的な進歩を遂げたことで、薬剤の特性をきめ細かく把握し、患者さんの状態や人生観に即した薬剤の選択と副作用の管理ができる専門家の存在が重要視されるようになっています。
外科治療の専門家である外科医が手術を担うように、がん薬物療法は薬物治療の専門家である内科医が司るという役割分担は、欧米では既に一般的です。当院でも、より患者さんにとってメリットがある診療体制をめざし、2018年に腫瘍内科を開設しました。
すべてのがん種を対象に、原発不明がんにも対応
私たちの診療対象は、悪性腫瘍と診断され、抗がん薬治療による治療を検討するすべての患者さんです。診療科を越えた臓器横断的な診断・治療を行うため、消化器がん、泌尿器がんなどがん種は問いません。原発不明がんや、悪性軟部腫瘍などにも対応します。
多職種による多彩な視点で、行き届いた治療・ケアを提供
がんの薬物療法を行う際には、副作用や、治療が続くにつれて生じる身体的・精神的な苦痛への配慮が欠かせません。そこで当科では、医師だけでなく看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士といった各領域の専門家と連携し、1人の患者さんを多角的な視点で診ることを徹底しています。患者さんの病状や生活状況、価値観などを多角的に評価することにより、個別最適化した治療計画を立て、包括的・全人的なケアによる「Quality of Survival」の提供をめざします。
先生にお話を聞きました!

腫瘍内科部長 倉持 英和
1994年筑波大学医学群卒業。東京女子医科大学病院、筑波胃腸病院、University of Southern California、東京女子医科大学八千代医療センターを経て当院。臓器横断的に腫瘍を診る中でも、消化器がんを中心とした化学療法と緩和ケアを得意する。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。

腫瘍内科医長 水上 拓郎
2010年浜松医科大学医学部卒業。聖マリアンナ医科大学病院を経て当院。特定の臓器を診る診療から幅を広げ、現在は泌尿器、乳腺、遺伝性腫瘍、神経内分泌腫瘍などを幅広く診療。倉持部長とともに臓器横断的ながん医療の先頭に立つ。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。
