プロにとっても愛好家にとっても、ケガや痛みによる競技からの離脱ほどつらいことはありません。高いレベルで長くスポーツを続けるために、正しい診断のもとで適切な治療とリハビリテーションを受けましょう。
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競技特性を熟知する理学療法士との連携が大きな強み

当院の特徴は、整形外科のドクターと、リハビリテーション科に在籍する理学療法士との強い連携により、手術適応でない方の機能回復訓練も一気通貫で提供できることです。リハビリの実施が決まったら、スポーツ整形外科の医師と理学療法士が直接連絡を取り合い、原因や症状、リハビリにあたって重視すべき部分、患者さんがめざす復帰レベル、負荷をかけてよい部分や運動強度などを共有。情報を総合的に判断して個別のスケジュールとプログラムに落とし込み、リハビリを開始します。開始後も、週に1度のカンファレンスを通じて回復状況などを話し合い、リハビリの内容や期間を調整していきます。

左から理学療法士の小田 陽子、越川 優、大山 貴裕、医師の武田部長、理学療法士の米村 仁洋、髙松 眞、瀧澤 彰宏
セルフケア
競技復帰・継続に向け患者自身の意識を高める
ケガや障害を早期に克服して競技復帰するだけでなく、同じ故障を繰り返すことなく競技を続けていくには、病院でのプロフェッショナルケアだけでなくセルフケアが非常に重要です。
理学療法士は、丁寧に教え導くだけでなく、トレーニングメニューや食事内容などについて自ら考えるためのヒントを提供し、患者さん自身が能動的にリハビリに取り組もうとする前向きな思考と主体的なケアを促します。
メンタルサポート
可・不可の線引きを明確に 不要な落ち込みを減らす
「できる」と思っていたことができないと、気分が落ち込みます。
競技復帰に向けたリハビリにおいては、無理に動かして復帰が遅れたり、復帰への不安からモチベーションの低下を招いたりすることもあります。そこで、リハビリの過程で「今できること、できないこと」「できるようになる時期の目安」を明示。患者さんが一人で思い悩み、リハビリに悪影響を与えることがないよう、メンタル面もしっかり支えます。
競技特性を考慮した診断とリハビリで、生涯を通じてスポーツに親しもう

スポーツ整形外科は、「ケガや障害を負う前に取り組んでいたスポーツに、パフォーマンスを維持して復帰してもらうこと」を目標としています。したがって、歩けるようになったり、走れるようになったりするだけでは十分とはいえません。患者さんが望む競技レベルを取り戻すことを前提として、競技特性を考慮したリハビリプログラムを組む必要があるのです。
競技に精通した理学療法士が、競技復帰に必要なリハビリを提案
例えば、同じ膝のケガでも、競技によって重視すべきリハビリは異なります。バスケットボールなら、方向転換に対して敏捷に反応する力を重視し、ジャンプや横の動きへの反応を高めなければなりません。一方、短距離や長距離を専門にする陸上選手の場合は、より前に進む力を重視してプログラムを組む必要があるでしょう。

広くて充実したリハビリ室。スポーツの種類に合わせて必要なリハビリプログラムを行う
故障をきっかけに、ケガをしない体づくりを
患者さん一人ひとりに適切なリハビリを提案するには、各種競技に精通した理学療法士の存在が不可欠です。当院では、26名の理学療法士がそれぞれのバックボーンや得意分野を生かしてリハビリプログラムを提案します。生涯を通じてスポーツに親しむために、ケガや障害と正しく向き合い、再発をしない体づくりにつなげていきましょう。
先生にお話しを聞きました!

スポーツ整形外科部長 武田 秀樹
1998年金沢大学医学部卒業。関東労災病院、東京大学医学部附属病院、オスロスポーツトラウマリサーチセンター、東芝病院(現・東京品川病院)を経て2018年より現職。専門分野は膝、および足全般。日本整形外科学会整形外科専門医。