主な疾患

乳がん

女性がかかるがんの第1位。※15割近くが乳房の外側上部にできます。※2動かないしこりや、乳頭からの分泌物・出血が特徴ですが、初期はほぼ無症状。乳管や小葉の周囲まで広がった浸潤がんは、リンパ節転移の可能性が疑われます。

  • ※1 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
  • ※2 東北大学病院データ(2011-2014年)

乳頭腫

乳管や、乳管が袋状になったのう胞内にできる良性腫瘍。症状として、乳頭から黄色や赤色、茶色の分泌液が出ることがあります。超音波検査で指摘されることが多いですが、がんでないことがわかれば安心ですので、乳腺外科に相談を。

線維腺腫

良性のしこり。ゆっくりと大きくなり、加齢とともに成長が止まります。がん化するケースは極めてまれなため、経過観察で問題ありません。ただし、大きい場合は乳がんと鑑別するために、針生検などの精密検査を行う必要があります。

乳腺症

乳房に痛みやゴツゴツしたしこりが生じるため、乳がんを心配する人が多いですが、病気ではなく良性の変化で自然と落ち着きます。基本的に治療は不要ですが、眠れないほどの痛みが出る場合、漢方治療を行うこともあります。

葉状腫瘍

多くは、こぶとして発見されます。線維腺腫とよく似ていますが、葉状腫瘍には良性、境界型、悪性があります。いずれのタイプでも必ず切除しなければなりません。また、良性であっても再発を繰り返すと、がん化する可能性があります。

Point!

乳がんにかかる人の割合は、40代後半~50代前半にかけて最も大きくなります。

特に気をつけるべき時期

20代、30代は線維腺腫や葉状腫瘍、35歳以降は乳腺症の患者さんが増えていきます。40代後半からは乳がんに要注意。同じく悪性であることが多い葉状腫瘍は40~60代に集中しています。乳頭腫はどの年代にも見られます。35歳未満の乳がんは全体の2%※3と少ないですが、比較的腫瘍の大きな状態で発見されることが多いのが特徴。年齢的に将来の出産を希望されることも多く、当院では専門機関にご紹介することで、卵子の凍結保存などの対応につなげています。また、乳がん患者の約150人に1人が男性※4です。まれなケースだからこそ発見が遅れたり、受診をためらう間に悪化したりすることがありますので、男性乳がんにも力を入れて取り組んでいます。

乳がんは早期発見が重要そのためにできること

乳がんは多くのがんと同様、初期は自覚症状がほとんどないため、見つかったときにはかなり進行していることが少なくありません。しかし、2cm未満の早期がんで見つかれば、乳房の形を変えずに治療できる可能性が高くなります。発症リスクの高まる40歳以上の方は2年に1度の乳がん検診を、40歳未満の方はセルフチェックを習慣づけましょう。乳房にえくぼのようなくぼみや引きつれ、乳頭に湿疹、ただれがないかを目で見るほか、触診によって乳房やわきの下にしこりがないかを確認します。また、5~10%は遺伝性乳がんといわれている※5ため、血縁者に乳がん患者がいる場合は注意が必要です。当院では遺伝学的検査、遺伝カウンセリングを実施していますので、一度ご相談ください。

Check!

乳がんは早く見つけて、早く手を打つことで、それまでどおりの生活を送れる可能性が高まります。しこりなどの異変に気づいたら怖がらずに受診しましょう。そして何より定期検診とセルフチェックが大事です。

がん相談支援センターによる手厚いサポートも

地域がん診療連携拠点病院に指定されている当院では、治療、病状、緩和ケア、セカンドオピニオンに関する質問のほか、病気による生活全般の心配事、経済的な不安など、あらゆることを相談できる「がん相談支援センター」を設置しています。15~39歳のAYA世代は特に、学業や仕事、家事、子育て、介護と治療の両立に悩まれる方が多いですが、看護師や医療ソーシャルワーカーが一緒になって考え、最善の解決策を見つけられるようサポートします。