救急と外来の両面から、脳血管・脳神経疾患に対応

一次脳卒中センターコア施設として脳卒中の診療を行うほか、脳血管や脳神経の病気が疑われるときの窓口としても機能する脳神経内科。外科・内科のどちらかに偏ることなく治療法を提示し、納得のいく選択ができるようサポートしています。

診断が難しい症例に、広く門戸を開く

脳神経内科では、脳血管障害や認知症などが疑われる患者さんの外来診療、および脳卒中の救急診療、脳血管内治療(カテーテル治療)を担当しています。
はじめに、外来での診療についてご紹介しましょう。当科が扱う病気の種類と原因は幅広く、地域のかかりつけ医として幅広い症状に対応する街のクリニックでは診断が難しいことも少なくありません。外来はそうした場合の相談窓口として、広く門戸を開いています。「脳血管に異常がありそうだけど、どの診療科に相談すればいいかわからない」「どんな治療が適切なのか、判断に迷う」といったケースは、迷わず当科にご紹介ください。

悔いのない決断ができるよう、考え得る治療法をすべて提示

当科の診療の特徴は、患者さんやそのご家族と十分に対話し、納得できる治療を一緒に模索するスタイルであることです。診療科として実績が豊富な分野や、医師の得意な治療に偏ることなく、その方にとって何が最善かを考えます。
例えば、人間ドックなどで未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、患者さんの多くは動脈瘤が破裂してくも膜下出血を引き起こす将来的なリスクを考え、「手術しなきゃダメかな」と思うかもしれません。しかし、動脈瘤は必ずしも破裂するとは限らず、大きさや形状、部位、さらには患者さんの年齢などを総合的に勘案した上で治療を検討する必要があります。定期的に受診をして経過観察をしていれば、大事に至らないこともあるのです。外科的手術よりも低侵襲なカテーテル治療で効果が見込める場合なども同様に、「外科手術をしない」「治療せず様子を見る」という選択肢も含めて考えられる方法をすべて提示し、患者さんが自分の体に対する決断に自信を持てるようサポートします。

チーム医療でスピードを上げ、緊急性の高い患者に対応

救急対応において、最も重要なのはスピードと正確性の両立です。そのためには、治療に関わる多職種が一致団結して無駄のない動きを徹底しなければなりません。
そこで、私が着任後はチーム力をより高めることに重点を置き、診療科や職種の枠を取り払った月に1 度の定例会議を継続しています。その結果、脳梗塞超急性期の受け入れから点滴やカテーテル治療による再開通療法を行うまでのスピードが劇的に上がりました。当院のカテーテル治療は脳神経内科が行うため、外科の先生方は重要度の高い手術に集中できるのもメリットです。
今後も、技術の進歩とともに複雑化する治療を広く学んで整理し、患者さんの診断・治療に還元してまいります。生活スタイルや価値観に合った治療がしたい患者さん、治療法の判断に迷っている患者さんがいらしたら、ぜひご相談・ご紹介ください。

Column:診療看護師 医師の診断・治療を助ける大切なパートナー

診療看護師は、一定レベルの診療を自律的に行えるだけの知識と技術を持った看護師のこと。医師の指示の下、患者さんの検査や身体診察、手術の補助などを行います。看護師の観点と、医師に近い医療者としての医学的観点から患者さんに介入できる稀有な存在で、チーム医療には欠かせません。当科でも村井診療看護師が活躍してくれています。

診療看護師の画像

Message

かかりつけの患者さんに脳血管の病気が疑われる場合、迷わず当科にご紹介ください。専門的な検査・診断の上、「治療せず様子を見る」選択も含めたすべての可能性を患者さんに提示し、納得できる治療を選んでいただけるようにいたします。

神谷 雄己写真