自然と応援したくなるトップアスリートたち
2020東京オリンピックに続いて2024パリオリンピックにも日本選手団本部ドクターとして参加してまいりました。今回は海外の大会としては史上最多の400人近くの選手が参加、また、当院で手術を受けた選手も8名おります。トップアスリートが競技に真摯に向かい合い、全身全霊を注いでいる姿をみていると、こちらも応援したくなる気持ちでいっぱいになります。周りのコーチングスタッフ·メディカルスタッフに対する配慮も素晴らしく、アスリートの鑑となるような選手ばかりでした。
心のケアを担う専門家 ウェルフェアオフィサーも日本選手団に同行
日本選手団本部医療スタッフは内科医師3名、整形外科医師2名、アスレティックトレーナー2名の他、今大会からは精神科医師や臨床心理士、ハラスメントなどに対応するセーフガーディングオフィサーを含むウェルフェアオフィサー4名も参加しております。ウェルフェアオフィサーは国際オリンピック委員会(IOC)の呼びかけで2022年の北京冬季オリンピックから始まった制度で、選手が結果を出さなければならない重圧に耐えられないことがあるためメンタルをサポートすべく活動しております。いままでは個別に選手団外の専門家などに相談する例はあったようですが、日本選手団に含まれるようになり活動しやすくなったことが大きいようです。選手からの反響も良く、今後このようなアプローチも増えていくと思われます。
現地ドクターとも協力 当院で治療や手術を受けた選手も活躍
私の活動は選手村内に医務室を設置し、怪我·障害に対して適宜診療を行っておりました。とくに大きな怪我は多くは無かったのですが、XP検査やMRI検査が必要な時は歩いて7、8分くらいのところにある選手村内のポリクリニックに選手とともに受診し、現地のドクターの協力を仰ぎ治療に当たりました。また、他のドクターと協力して主にドクターが帯同していない競技を中心に競技場でのサポート(選手の応援を含む)を行っておりました。特に当院で治療や手術を受けた選手については治療後の辛いリハビリテーションを行っている姿を見ているだけに、オリンピックというこの上ない舞台で活躍する様を見届けられることはスポーツ整形外科を生業としている身としてはこの上ない喜びであり、目頭が熱くなることが何度かありました。
オリンピックが終わり、ロスオリンピックに向けてスタートを一緒に選手たちのケアを行った医師たちと。それぞれが専門知識と経験を生かし、大会に貢献した。切っている選手はたくさんいます。
スポーツはトップアスリートにとっては終わりなき戦いですが、我々市民にとっては気持ちを充実させてくれる余暇でもあります。私たちはこれからもトップアスリートからレクリエーショナルスポーツにおける怪我·障害に対しサポートしてまいります。

レスリング女子53kg級で金メダルを獲得した藤波朱理選手と
先生にお話しを聞きました!

スポーツ整形外科 部長 武田 秀樹
1998 年金沢大学医学部卒業。関東労災病院、東京大学医学部附属病院、オスロスポーツトラウマリサーチセンター、東芝病院(現東京品川病院)を経て2018 年より現職。
日本整形外科学会整形外科専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター