アピアランス(外見)ケアのこと

アピアランスケアとは、「がんやその治療に伴う外見変化に起因する身体・心理・社会的な困難に直面している患者さんとその家族に対し、診断時からの包括的なアセスメントに基づき、多職種で支援する医療者のアプローチ」と定義されています。

患者さんはがん治療により外見が変化したりすることで「周りの人からどう思われるか気になる」「自分らしさがなくなったような気がする」「治療をする気になれない」とネガティブな気持ちを抱く場合があります。
アピアランスケアはそんな患者さんに対しての、医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因する苦痛を軽減するためのケアです。

参考:桜井なおみ他 第7回日本サポーティブケア学会学術集会 2021

上記のとおり多くの患者さんは「外見の違和感」だけでなく、「就学や就労などをきっかけとした社会的な側面」や「他人の目が気になるなどの心理的側面」がアピアランスケアを受けるきっかけとなっています。
当院でのアピアランスケアも患者さんの身体・心理・社会的問題に対して、包括的にサポートすることを目指して行っています。各病棟の看護師や化学療法センター、がん相談支援センターでもアピアランスケアについて相談をお受けしておりますので、まずはご相談ください。

レディース病棟でのアピアランスケアのご紹介

当院のレディース病棟は、2023年1月4日にオープンしました。患者さんもスタッフも全て女性で、患者さんが入院中も安心して療養できるよう、プライバシーに配慮しながら、デリケートなニーズに対し思いやりを持った看護を提供するよう心がけています。

レディース病棟で対応する診療科は婦人科、乳腺外科、外科、消化管内科で、婦人科疾患や乳がん、消化器外科の手術を受ける患者さんや、消化管の内視鏡治療を受ける患者さんが多くいらっしゃいます。患者さんの年齢は、15歳から96歳(平均年齢59.3歳)(※1)となっており、女性の一生涯にわたっての様々な病気をサポートしています。
(※1)2023年11月16日現在
AYA世代の中でも一人一人悩みごとは違います。私たちはAYA世代に限らず患者さん一人一人に合わせたサポートが必要と考えております。
この病棟では、婦人科がんの化学療法を行う患者さんが多く、アピアランスケアとしては、主に脱毛や手足症候群(指先のひび割れ皮膚障害)のケアを行っています。患者さん自身が自分らしく、元気でいられるよう、不安や悩みに寄り添った看護を提供しています。例えば、脱毛に関しては、患者さんが社会とつながっていくために、ヘアケアの仕方や自宅や外出時にできる工夫などをご紹介したり、時にはウィッグ(かつら)の提案をもしています。脱毛は頭髪だけでなく、まつ毛や眉毛にもおこりますので、眉毛を描くヒントやアイブローペンシルなどのアイテム紹介、メガネの装着の提案をしたりもしています。外見に関する悩みは人それぞれであるため、患者さんが大切にしていることに寄り添ってご提案をするよう心掛けています。