麻酔科

(1)概要

麻酔科では、年間約4,500件の手術における麻酔管理を担当しています。
当院は日本麻酔科学会認定麻酔指導病院にも認定されており、日本麻酔科学会認定麻酔科専門医らにより、安全で質の高い麻酔管理を目指しています。
麻酔の方法は、大きく全身麻酔法と局所麻酔法に分けられます。実際に用いる方法は、患者さんの状態や、病気の性質・部位、手術方法や手術にかかる時間などに応じて異なります。短時間の下腹部の手術や下肢(足など下半身)の手術では、脊椎麻酔や硬膜外麻酔が選択されることが一般的です。また、近年では手術中や手術後の鎮痛を目的として、全身麻酔に硬膜外麻酔を併用することも多くなっています。
麻酔中は、麻酔科の医師が血圧計、心電図、酸素飽和度計などを用いながら患者さんの状態を確認し、安全な麻酔管理に努めています。

  • ※2023年4月1日から2024年3月31日の全身麻酔手術件数:4616件

(2)ポリシー

麻酔科の医師は、どのような手術であっても麻酔開始から終了まで患者さんの側について状態を確認しています。
すべての麻酔には合併症のリスクがあるため、投与後は血圧の低下や脈拍の変動などが起こっていないか、細心の注意を払って確認し続け、患者さんの安全を守ることを本分としています。

(3)特徴

全身麻酔の解説と用いられるシーンの例

全身麻酔法には、吸入麻酔法(チューブを挿管する気管内挿管法、マスクで気道を確保するマスク麻酔法)や静脈麻酔法があります。
たとえば、成人の患者さんに対して扁桃腺摘出手術を行う場合は、気管にチューブを挿管することで麻酔をかける気管内挿管全身麻酔法が選択されます。筋肉を緩めるための筋弛緩薬を使用することもあり、この場合は補助呼吸や人工呼吸で呼吸を助ける必要もあります。
ほかの全身麻酔を必要とする手術では、長時間安全に呼吸の管理を行うために、ラリンジアルマスクという口腔内に入れるマスクが用いられることもありますが、扁桃腺摘出手術は口の中の手術であるため選択されません。
このように、治療部位や手術にかかる時間に適した麻酔方法が選択されます。

局所麻酔の解説と用いられるシーンの例

局所麻酔には、表面麻酔法、局所浸潤麻酔法、伝達麻酔法(脊椎麻酔法、硬膜外麻酔法、神経叢遮断法)などがあります。たとえば、胃の切除手術を行う場合は、局所麻酔と全身麻酔を併用して使用します。このとき選択する局所麻酔は、背中からカテーテルを通して注入する硬膜外麻酔です。
硬膜外麻酔は、胃の切除手術が終わり全身麻酔下から目を覚ました後も注入を続けることができます。そのため、術後も傷の部分の痛みを抑えることが可能です。
硬膜外麻酔と全身麻酔の併用は、胃の切除手術以外のほかにも、腹部の手術、肺などの胸部の手術、股関節などの整形外科手術、子宮などの産婦人科手術、前立腺などの泌尿器科手術などで選択されることがあります。


受診される方へのメッセージ

普段は患者さんと接する機会が少ない私たち麻酔科医ですが、安全・安心で快適な手術を受けていただけるよう力を注いでいます。もし、手術を受けなくてはならないことが決まっても、どうぞ安心してお任せください。また、不安がある時はいつでもご質問ください。

部長 小松 孝美