当院外科では、主に消化器がんの治療を行っています。AYA世代(15〜39歳)の患者さんは比較的少なく、当院では30代後半の方が中心です。2024年には、40歳未満で消化器がんの手術を受けた患者さんが7名いらっしゃいました。疾患の内訳は、大腸がん、胃がん、食道がん、膵神経内分泌腫瘍などです。

AYA世代特有の課題:妊よう性(妊娠する力)の温存

AYA世代の患者さんは、がん治療に加えて「妊よう性の温存」という重要な課題に直面します。早期に発見された消化器がんでは、手術後に抗がん剤治療を行わない場合もあり、妊よう性への影響は少ないです。しかし、進行がんの場合は、手術後に抗がん剤治療が必要になることがあり、注意が必要です。
例えば、大腸がんの治療に使われる抗がん剤「オキサリプラチン」は、卵巣や精巣に影響を与え、不妊の原因になることがあります。そのため、妊娠を希望される患者さんには、治療前に卵子や精子の凍結を提案したり、オキサリプラチンを使わない治療法を検討するなど、工夫をしています。

遺伝性のがんの可能性にも配慮

若い世代の大腸がん患者さんでは、「遺伝性大腸がん」の可能性も考慮する必要があります。特に「リンチ症候群」と呼ばれる遺伝性疾患の可能性がある場合、専門の外来で遺伝カウンセリングを受けていただくようにしています。
当科では、患者さんの家族歴(家族の病歴)を詳しく伺い、必要に応じて「MSI検査(マイクロサテライト不安定性検査)」を行います。この検査で「MSI-High(陽性)」と判定された場合、リンチ症候群の可能性が高くなります。また、この検査は、免疫チェックポイント阻害薬という新しいタイプの治療薬が使えるかどうかを判断するためにも重要です。

実際の症例から学ぶ

30代前半の女性患者さんの例をご紹介します。便潜血検査で異常が見つかり、大腸内視鏡検査で早期の直腸がんと診断されました。内視鏡治療が行われましたが、追加の外科治療が必要となり、当科に紹介されました。
この患者さんはAYA世代であり、社会的なサポートに加えて、遺伝性のがんの可能性も考慮する必要がありました。家族歴を詳しく調べたところ、親や祖父母にも若くして大腸がんを発症した方が複数おり、遺伝性の可能性が高いと判断されました。MSI検査の結果はMSI-High(陽性)であり、免疫チェックポイント阻害薬の適応があることが分かりました。
この薬は直腸がんに対して高い効果が期待されており、結果的に外科的な直腸切除や人工肛門の回避が可能となりました。

多職種連携と幅広い知識が重要

多職種連携によるAYAがん患者支援の画像

AYA世代のがん患者さんを診療するには、医師だけでなく、看護師、薬剤師、遺伝カウンセラーなど多くの職種が連携し、患者さんの人生設計を支えることが大切です。私たち医療者が正しい知識を持ち、適切な対応をすることで、患者さんが自分らしいライフスタイルを選ぶための大切な機会を守ることができます。

AYA世代のがん治療では、病気だけでなく、将来の妊娠や生活の質も大切にした支援が必要です。私たちは、患者さんが自分らしく生きるための選択を支えられるよう、チームで取り組んでいます。どうぞ、気になることは何でもご相談ください。

不安なことなんでもご相談ください!「がん相談支援センター」

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