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乳がんとはどのような病気? 概要と検査、治療方針について

乳がんとはどのような病気? 概要と検査、治療方針について
沢田 晃暢 先生

NTT東日本関東病院 乳腺外科部長・がん相談支援センター長・遺伝相談室長

沢田 晃暢 先生

目次
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乳がんは早期に発見し、適切な治療を受けることで、良好な経過をたどることのできる可能性がある病気とされています。乳がんを早期発見するためには、どのようなことを行うべきなのでしょうか。また、乳がんの疑いがあるときに行われる検査には、どのようなものがあるのでしょうか。

乳がんの概要から検査、治療方針について、NTT東日本関東病院の沢田 晃暢先生にお話を伺いました。

乳がんの発症にはエストロゲンが関係している

乳がんの発症には、エストロゲンが深く関わっているといわれていることから、体内のエストロゲンのレベルに影響を与えるものがリスクを高める要因であるとされています。

乳がんのリスクを高める要因としては、以下が挙げられます。

  • 初経の年齢が早いこと
  • 閉経の年齢が遅いこと
  • 出産歴、授乳歴がないこと
  • 血縁者の中に乳がんの既往歴がある方がいること
  • 体内にエストロゲンを加える経口避妊薬を使用していること
  • 閉経後にホルモン療法を受けていること
  • 運動量が低下していること

など

40〜50歳代の罹患率が高い

乳がんは40歳代~50歳代の女性に多く、50歳代前半以降は徐々に減少する傾向があります。閉経後の肥満は乳がんのリスクを高める要因の1つであるとされており、日本人の平均閉経年齢は約50歳であることから、閉経後は生活習慣に注意する必要があります。また、加齢に伴い運動量が低下してしまうことが考えられますが、運動量の低下も乳がんのリスクを高める要因の1つになりうるため、年齢に適した運動量を心がけることが大切です。

○40〜50歳代の罹患率が高い
出典:「がん情報サービス がん登録・統計」

一般的に、乳がんは女性の病気だと思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、男性でも乳がんを発症する可能性があります。男性の乳がんは、女性の1%程度であるといわれており、女性の乳がんと比較して発症する年齢が5~10歳程度高いとされています。

男性の乳がんと女性の乳がんの予後にあまり違いはないとされ、治療についても基本的に女性の乳がんと同様の流れで行われます。

乳がんを発症する方は年々増加しており、なかには乳がんによって命を落としてしまう方もいらっしゃいます。しかし、乳がんはほかのがんと比較して、薬物療法や放射線療法の効果を期待しやすいことや、数々の治療薬が開発されていることから、良好な経過が期待できます。そのため、自覚症状の有無にかかわらず、定期的に検診機関で検診を受け、乳がんを発症していないかを見極めることが大切です。

乳がんは、症状として乳房の見た目に変化が現れることがあり、乳房の表面に現れる変化からご自身で発見につなげることが可能です。一方で、患者さんによっては乳房の奥深くにある小さなしこりなどは触れることが難しく、発見に至ることが困難とされることがあります。

自己検診(セルフチェック)の頻度は、月に1回など、周期を定めて実施することで、より変化に気付きやすくなります。

乳がんと診断するためには、視診や触診、マンモグラフィ、超音波検査のほか、細胞診や組織診などを行います。

マンモグラフィは、乳腺専用のX線検査です。乳房を圧迫し引き伸ばして撮影を行うため痛みがありますが、しこりとして触れる前の早期の段階で発見できる可能性があります。

ただし、マンモグラフィの画像上で、乳腺組織とがん組織は、両方とも白く写し出されるため、乳腺濃度の高い方はがんを見つけにくいという特性があります。一般的に、欧米人と比較して、日本人には乳腺濃度の高い方が多いとされているため、超音波検査も一緒に受けることで、乳がんをより発見しやすくなります。

マンモグラフィ検査の様子

マンモグラフィ検査の様子(女性技師による対応をしています)

超音波検査は、乳房の表面から器械を当てて、超音波の反射する様子を画像で確認する検査です。超音波検査画像では、乳腺の中でがんは黒く描出されるため、比較的乳がんを発見しやすいという特性があります。また、しこりが良性であるか悪性であるかを判断するためにも、有効な検査であるとされているため、乳がんの検査の中では欠かせない検査の1つになっています。

乳房超音波検査の様子

乳房超音波検査の様子(女性技師による対応をしています)

細胞診には、細い針を刺して細胞を吸引して行う穿刺(せんし)吸引細胞診と、乳頭からの分泌物をこすり取って診断する擦過細胞診(さっかさいぼうしん)の2種類があります。

穿刺吸引細胞診、擦過細胞診共に、細胞の良悪性の判定に使用します。

局所麻酔を行い、気になる組織の一部を針で生検する方法です。

組織を採取するため、良悪性の判定のほかにも、その生検した組織を染色することにより、その組織のタイプを知ることができます。また、悪性であることが分かった場合には、がんの性質やサブタイプ(がんの性格)の診断にも用いられます。

乳がんの治療は、浸潤がん*と非浸潤がん**のどちらであるかが、治療方針を決めるうえで重要です。また、浸潤がんであった場合の薬物療法の選択は、サブタイプを基に決められます。がんの性質に合わせた薬物療法を選択することで、再発のリスクの低減を図ります。

サブタイプごとの薬物療法は、サブタイプ分類を基に以下のように決められています。

サブタイプごとの薬物療法

  • ルミナールタイプ……ホルモン療法、化学療法
  • HER2タイプ……分子標的治療薬、化学療法
  • ルミナールHER2タイプ……ホルモン療法、分子標的治療薬、化学療法
  • トリプルネガティブタイプ……化学療法、分子標的治療薬

*浸潤がん:乳管内や小葉内にできたがん細胞が、周りの組織に広がった状態のがん。

**非浸潤がん:乳管内や小葉内にできたがん細胞が、ほかの組織には広がらず、乳管や小葉の中にとどまっている状態のがん。

乳がんの治療においては、手術療法、薬物療法、放射線療法を大きな柱としており、患者さんの全身状態やがんの性質によって、各種治療を単独で行う場合と組み合わせて行う場合があります。

※当院で行われている乳がん治療については『NTT東日本関東病院 ブレストセンターにおける乳がんの治療と検査について』でお話しします。

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